イルコのブログ

個人事業関係、読書の感想、体験談などを発信します!

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2025年の目標 2024年の振り返り

2024年に掲げた個人目標の振り返りと2025年の個人目標を書きました。
漫画家を目指している人など同じような境遇の方の参考になれば幸いです。
どなたでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。

  1. 2024年振り返り
  2. 2025年目標

1. 2024年振り返り

概ね達成できたと思うが、重要度の高い事が達成できていない。
急いで達成しなくても今のところ問題ないので、ゆっくり自分のペースで歩んでいきたい。

アクションアイテム 内容 結果 感想
1. 会社をやめても稼げると思える働き方をみつける ①仕事の受託
②事業をする
③コミュニティ参加
④事業計画
総合:△
①◯
②x
③◯
④x
2024~2025年は個人事業での収益は目標としないように設定したので一部達成できず
2. 会社を退職する 会社を退職する 予定通り退職できて良かった
3. ブログに掲載し続ける 最低月1回以上投稿 ギリギリ達成。ネタがなかったりPVが少なかったりでモチベーションの維持が難しい
4. 読み切りのマンガを描く 読み切りのマンガの完成 下書きまではほぼ完成。新しいiPadを買ってペン入れをしたいと思っているので中断中

2. 2025年目標

仕事(マンガ)、生活、その他、でそれぞれ目標を作成。

①仕事(マンガ)

まずは物語を作ることや物語をマンガにできるようになる!
担当編集がつくかは努力目標。

内容 予定日 備考
クリスタを使えるようになる 1月 今までプロクリエイトを使っていたのでクリスタへ切り替える
読切を4件完成させる 3月、6月、9月、11月
商業誌への持ち込み 7月 8月以降もコミティアなど機会がつくれれば参加する

②生活

地方移住する!
4月くらいに生活費の安い地方へ引っ越す。
当面の生活費は貯蓄でやりくりし、今年は収入を考えない。

③その他

ブログを投稿をする。(毎月最低1記事)
何かしらメディアで発信して、少しでも露出して作品を見られるような環境を作る。
おそらく孤独を感じると思うので、少しでも社会との接点を作り孤独をごまかす。

鼻中隔湾曲症 手術 体験談

私は、物心ついたときから片方の鼻が常に詰まっており、日常的にストレスを感じていました。
鼻詰まりの解消のため、2024年の秋に鼻中隔湾曲症の手術を受けました。
結論から言うと、手術を受けて良かったです。もっと早く受けていれば良かったと思えるほど満足です。

病院選びや手術など不安なことが多かったので、記事に残します。
鼻詰まりに悩んでいる人や、鼻中隔湾曲症の手術を検討している人の参考になれば幸いです。
疑問点などあれば気軽にコメント下さい。

目次

鼻中隔湾曲症の概要

鼻中隔湾曲症とは、鼻中隔(鼻の穴を左右に隔てている壁)が強く曲がっているせいで、鼻づまりやいびき、嗅覚障害といった症状が慢性的に現れる病気です。
治療には手術が必要で、手術を受けるには骨が固まった大人である必要があります。
また、手術の当日は休むことが推奨されています。
手術は高額で数万円〜数十万円のようです。(入院の有無や年収で大きく変化あり)

私の対応内容

私は、次のことを行いました。

  1. 病院探し ・・・対応している病院を探す
  2. 手術前診察 ・・・手術前の診察
  3. 手術 ・・・手術
  4. 手術後診察 ・・・手術後の治療や診察
項目 説明 備考
手術 鼻中隔矯正術、
下鼻甲介手術、
後鼻神経切断術
人によって手術内容は異なります。
副鼻腔炎がある人はこれ以外にも手術が増えると思います。
合計料金 12万円程度
治療期間 2ヶ月程度
通院回数 7回 病院探し:1回、
手術前診察:2回、
手術:1回、手術後診察:3回

1. 病院探し

私は、鼻詰まりの原因が鼻中隔湾曲症か判断するため、近所の病院で診察を行いました。
診察の結果、鼻中隔湾曲症と下鼻甲介が鼻詰まりの原因のようでした。
(鼻には3つの甲介と呼ばれる粘膜(ヒダのような形状)があり、それぞれ上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介と呼びます。中でも下鼻甲介は大きく、鼻炎のある方はここが大きく腫れて、鼻の通りが悪くなってしまいます。)
診察を受けた病院では、鼻中隔湾曲症の手術ができなかったため、病院を紹介してもらいました。
(大きめの病院や専門の病院以外は、手術ができないことが多いようです。)
紹介状も書いてもらいましたが、おそらく紹介状はなくても問題ないと思います。
私の場合、「日帰り手術可能(経済的理由)」且つ「家から通える近さ」の条件で病院を相談し、東京ロクマル鼻副鼻腔クリニックを紹介してもらいました。

東京ロクマル鼻副鼻腔クリニック

個人的に、東京ロクマル鼻副鼻腔クリニックはおすすめできる病院だと思います。
通院してわかったことなど、メモ程度に記載します。

  • 情報
    • 予約方法:ネット予約あり(初診以外は診察後に口頭で予約)
    • 場所:池袋 サンシャイン通り
    • その他:待ち時間でQRで問診を回答する
  • 感想
    • 病院:とても綺麗、ほとんど待たない、番号札で呼ばれる(プライバシーに配慮?)
    • 応対:とても親切で説明も丁寧、注意点やスケジュールの資料など手厚い
    • 診察:手術前の検査がきっちりしている(厳重すぎる気もするが他の病院を受けていないので比較できず)
    • 料金:診察は検査が厳重なので少し高い気もする、手術は入院しないため安めかと思う(手術は高額療養費制度が最初から使える)

「2. 手術前診察」から「4. 手術後診察」までは、東京ロクマル鼻副鼻腔クリニックで診察や手術を受けています。

2. 手術前診察

診察は、2回受けました。
診察内容は、何の手術をするかと手術して問題ないかの検診でした。

1回目(手術1ヶ月前)

・症状の確認
「鼻の中の写真(鼻中隔の曲がりの確認)」と「顔の断面図のCTスキャン」を撮り、どうするか決めました。
私の場合、鼻中隔が左に曲がっているので左側が詰まりやすく、鼻の中で炎症(下鼻甲介の炎症)を起こして鼻の内部が腫れるため交互に鼻が詰まりやすくなっているとのことでした。

・手術可否の検診
手術しても問題ないか検査や問診を受けました。
検査内容は、肺活量検査(鼻と口の両方)、胸のレントゲン、心電図、血圧、採血ででした。
問診内容は、アンケート回答と口頭確認でした。

・料金など
診察は1時間くらいで終わり、診察費は1.5万円くらいでした。

2回目(手術2週間前)

・検診結果と手術内容の相談
前回の検査結果と今後の手術内容を聞きました。
(検査結果によっては、手術を受けられないこともあるようです)

私の場合、鼻中隔湾曲症意外にも問題があり、全部で3つの手術を受けることを提案されました。

  1. 鼻中隔矯正術・・・鼻の骨が曲がっているの(鼻中隔湾曲症)をまっすぐにする(私の場合、左に曲がっている)
  2. 下鼻甲介手術・・・鼻の穴の通りが狭いの下鼻甲介を小さくして、空気が通りやすくする
  3. 後鼻神経切断術・・・アレルギーで下鼻甲介が腫れるので、アレルギーの元となる神経を切断する

その後、全身麻酔と手術に関しての同意書を書いたり、今後の対応内容や手術の前後の注意点などを聞きました。

・料金など
診察はすぐ終わり、診察費は数百円でした。

3. 手術

手術前日には、「21時以降は飲食しない(手術当日の朝6時までOK)」という行動制限がありました。
手術当日は、午前中に手術が終わり午後には帰宅できました。
手術後に飲食ができるか確認するため、「軽食(おにぎりなど)」や「飲み物(お茶など)」が必要でした。
また、日帰り手術だったので、付き添いが必要でした。
(付き添いは手術中ずっと待っていなくても帰るときに迎えにこれれば良い)
手術当日は、辛くて何もできないと思います。(私は時間を忘れる系のゲームでやり過ごしました)

手術当日の流れ、感想など

  • 8:00 病院到着
  • 8:10 手術用の服に着替えて待機
  • 8:30 説明を受ける、検温、血圧、血中酸素の検査(うろ覚え)
  • 9:00 手術
  • 10:30 手術室のベットで目覚める
    • 車椅子で移動し、専用の個室に戻る(寝ぼけている)
    • 吐き気がすごい、頭がボーとするが眠れない(少し興奮もしている気がする)
    • 少し頭痛がある
    • 鼻血が出る
    • 少し涙が出る
  • 11:00 吐き気止めの点滴、痛み止め
    • 右の鼻から鼻血が止まらない
    • 鼻に詰めている綿球みたいなものが血でいっぱいになり、血がしたたり落ちてくる(右鼻は20分に1回交換、左鼻は1時間に1回交換)
    • 鼻に詰め物をしているのでiPhoneの顔認証が通らない、マスクをすると通る
  • 11:35 おにぎりを食べる、味がしない(食欲はほとんどない)
    • 点滴が効いて気持ち悪さや痛さはなくなる
  • 12:00 問診、血圧、体温、血中酸素の検査
    • 今日は鼻血が止まらないが明日になれば止まる人が多いとのこと
  • 12:05 主治医と麻酔医による最終状況確認
  • 12:20 清算
    • 医療費(10万円弱)を支払う
    • 処方箋をもらう
      • 飲み薬:
        • 毎晩飲む用:炎症を抑える薬、胃があれないようにする薬、化膿止めの薬
        • 辛かったら飲む用:痛み止め
      • 点鼻薬
        • 毎日夜使う用:鼻の詰め物が取れたら使う(手術後の翌日の夜から使う)
  • 12:30 帰宅
    • 詰め物をしていても鼻血があふれでるので、電車より車のほうが人目が気にならない
    • 意識ははっきりしているので一人でも帰宅できるが、トラブルがあると対応できないので付き添いがいないと厳しそう
  • 翌日の朝
    • あまり眠れず
    • 鼻血は止まらず(枕が血で汚れるようなことはないので、対応可能な範囲の出血。結局3日後くらいに鼻血が止まる)
    • 前日から絶え間なく続く苦痛に、徐々に耐えられなくなってくる
    • 常に腹式呼吸だからか、腹部が少し筋肉痛になる

4. 手術後診察

診察は、3回受けました。
診察内容は、鼻の詰め物を取るのと鼻の治癒状況の確認でした。

1回目(手術後翌日)

・鼻の詰め物を取る
診察内容は、鼻の詰め物を全部取り、鼻に綿球を詰めました。

鼻の詰め物を取る・・・長めの綿(スポンジ?)をとって、そのあと痛み止めと止血薬のガーゼを鼻に入れ、金属?らしいものを取る
鼻に綿球を詰める・・・鼻の穴が塞がるくらいの綿球を詰める(乾燥したり鼻くそができないようにするため)

・料金など
鼻洗浄が処方され、診察費と処方箋は合わせて4千円くらいでした。
鼻洗浄と点鼻薬は今日から1ヶ月間くらい使い続けてほしいとのことでした。(鼻洗浄は朝夕晩、点鼻薬は晩)

2回目(手術1週間後)

・鼻の治癒状況の確認
診察内容は、鼻の状態をカメラを使って確認しました。
鼻は非常に良い状態で、鼻洗浄は3回/日から2回/日で良いことになりました。
鼻の綿球は、努力義務で引き続き詰めてほしいとのことでした。(私は、辛くてこの日から1週間後にやめました)

・料金など
診察費は、数百円でした。

3回目(手術1ヶ月後)

・鼻の治癒状況の確認
診察内容は、鼻の状態をカメラを使って確認したり、CTスキャンで術前術後の比較などをしました。
鼻は非常に良い状態だったので、診察はこれで終わりとなりました。(状態が悪ければ、2ヶ月後にも診察が必要でした)

・料金など
診察費は、5千円くらいでした。

感想など

冒頭にも書きましたが、やって良かったです。
度合いとしては、人生のやってよかったことのベスト5に入ると思います。
同じ悩みを持っている人がいるのであれば、やったほうが良いとおすすめしたいと思います。
(手術が失敗して鼻が通り過ぎて詰まっているように感じるリスクもあるようですが、ギャンブルする価値はあると思います)

・鼻はどうなったのか
手術前にも、時々両方の鼻が通ることがありますが、手術後のほうが鼻が通っています。
開放感があり、大げさに言うと世界が変わるような感覚です。
鼻の見た目や嗅覚、声の聞こえ方などは変わりませんでした。
私は鼻炎もあるのですが、鼻水もほとんど出なくなりました。(点鼻薬の影響かもしれませんが)

・治療や手術は辛いのか
他の人の体験談と比べると、私はそこまで辛くなかったです。(インフルのほうが辛い、風邪くらいの辛さ)
手術後の詰め物を取る痛みも、意思とは関係なく涙が出ましたが耐えられるレベルでした。(冷や汗が出るほどの腹痛の方が辛い)
辛くなかったのは、先生の腕が良かったのか自分の手術が軽度だったのか判断はつきません。
他の人の体験談だと、鼻の詰め物を手術後1週間詰めるとか完全に鼻が密閉されたいるとかでしたが、私の場合は手術の翌日に鼻の詰め物は取れたし完全に鼻が密閉されているわけではなく98%くらいの密閉率でした。

鼻に常に(お風呂と鼻洗浄以外全ての時間で)綿球を詰めているのは結構なストレスでした。
寝ているときも口呼吸になり、喉が乾燥して痛くなります。
(私は手術後2週間で綿球をやめて、申し訳程度にマスクをして鼻の乾燥を防ぎました。それでも治療に影響はなかったようです)

・手術後どうか
2ヶ月程度しか経っていませんが、鼻が詰まることはありません。
また、睡眠の質が上がって睡眠時間が減った気がします。

スクリプトドクターの脚本教室・初級編 読書 感想

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇を読んだので、本の概要や感想などを自分の備忘録として書く。
小説や漫画、ゲーム、映画、テレビ、など何かしら脚本を書けるようになりたい人の参考になれば嬉しい。

目次

動機

私がこの本を読もうと思った理由は、読み切り漫画を描けるようになりたいと思ったから。
現在私は、読み切り漫画を描けていない状況である。
そのため、まず脚本を学び、最初のステップである原案をできるようになりたいと思った。

多くある脚本の参考書から、この本を選んだ理由は次の内容である。

  • Youtubeで激推されていた(過去の記憶なので、誰が言っていたか定かではない)
  • 本屋で脚本の本棚を見たらおすすめされていた
  • 図書館で貸出していた

他にもおすすめの学習方法などあれば、コメントいただけると助かります。

本の概要

本書は、「脚本作成」と「スクリプトドクターの仕事術」について初級者向けに解説している。

「脚本作成」では、陥りがちな脚本の問題点や主人公やストーリ作成について記載されている。
具体的には次の内容である。

  • 学生が書いた脚本をタイプ分類し問題点を指摘
  • 主人公について(好きな人もしくは嫌いな人を主人公にする、追い込む、殻を破る)
  • 物語の抽象化と中心軌道を使った脚本作成(よみがえった改心、おそ松くん 金庫破りはやめた、旅人の鞄、など)
  • 脚本作成のチップス(ハコ書き、逆バコ起こし、反転攻勢のシーン、ダブルタップ(二度撃ち)、からめとり話法、など)
  • 脚本家志望の相談例(各セクションに対する生徒の悩みと悩みの乗り越え方)

スクリプトドクターの仕事術」では、スクリプトドクターの概要や著者の経歴、仕事内容などが記載されている。
スクリプトドクターとは、脚本の医者のこと。脚本が行き詰まった時に雇われることが多い。日本には数人しかいない。)

三宅隆太(ミヤケリュウタ)・・・本書の著者。脚本家、映画監督、スクリプトドクター、心理カウンセラー。東京藝術大学大学院をはじめ各種大学やシナリオ学校等で教鞭も執っている。

感想

著者が脚本家だけあって、文章が読みやすく面白く書かれている。
最初の学生の書いた脚本のパターンのディスりが、辛辣で爽快で掴みが良い。
テクニック的なことは知っている内容が多かった気がする。(身についているかは別の話)

良かったこと

中心軌道の考え方がとても勉強になった。
実際の映画を例に出して説明してくれるのは助かる。
ブルーサンダー(映画)の逆バコ起こしがあるのがありがたい。
分析評価シートは煮詰まったときに使える気がする。

気になったこと

脚本製作以外の内容(カウンセリングやスクリプトドクターの仕事など)も結構あり、今の自分に必要な情報ではなかった。(そもそもスクリプトドクターの本だから、その事を書かない訳にはいかない気もする)
少し求め過ぎな気もするが、型が一つ(旅人の鞄)しかないのが少し物足りない。(もっと数を用意したり、型を作るためのステップできる練習カリキュラムがあると大満足)

今後やりたいこと

「旅人の鞄」の型を使って漫画を書く。(現在作成中のため、完成したら公開予定)
他の型も調べて、同じように漫画を書きたい。(「save the catの法則」が良さそうに思えた)
面白いかどうかは一旦置いといて、読み切りを5本以上書く。(2025年内目標)

暇と退屈の倫理学 読書 感想

暇と退屈の倫理学を読みました。
本の概要や感想などを自分の備忘録として書きました。
何をすれば良いかわからない人、生き方に悩んでいる人、役割が欲しい人、FIREを目指している人などの参考になれば幸いです。

目次

動機

私が本書を読もうと思ったきっかけは、たまたま見ていたYoutubeでおすすめされて、タイトルに惹かれたため。
私が本書を読みたいと思った主な動機は次の内容。

  • これからの人生で時間があり余ったら、暇や退屈とどのように向き合うべきなのか知りたい。
  • 会社の仕事に多くの時間を使ってきたので、価値観が生産性とか価値提供とかに寄っているため、別の価値観を作りたい。
  • 暇や退屈を使って人間が何を求めているかを知ることで、ものづくりにも役に立ちそう。
  • (後で知ったが)東大で一番読まれているらしい。

本の概要

本書は、哲学者や科学者の文献や映画を例に、暇と退屈について解説している。
非常に丁寧に解説しているので、哲学者や映画などの前提知識はなくても問題ない。
本書は、7章あり3部構成になっている。

  • 暇と退屈がいかなる問題を構成しているか(第一章)
  • 歴史的な見地から暇と退屈の問題を扱う(第二章〜第四章)
  • 哲学的に暇と退屈の問題を扱う(第五章〜第七章)

國分功一郎(こくぶんこういちろう)・・・本書の著者。日本の哲学者。東京大学大学院総合文化研究科教授。

以下、3部構成を要約。(かなり説明を省いているので、分かりに難い箇所や不足している箇所など多いと思うが、少しでも参考になれば嬉しい。)

暇と退屈がいかなる問題を構成しているか(第一章)

パスカルは「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしてられないがために起こる」と言っている。
つまり、人間は退屈に耐えられない、そして退屈が不幸を作る。
人間は、退屈になることで、苦しみをもとめる。(ウサギを狩りに行ったり、ギャンブルをしたり、逃避で勉強や仕事をしたり、テロリストになったり、退屈で居続けることはそれ以上に苦しい)
退屈の対義語は楽ではなく、興奮である。
人は退屈ゆえに興奮を求めてしまう。
幸福な人は、楽しみ・快楽を既に得ている人ではなくて、楽しみ・快楽をもとめることができる人である。

歴史的な見地から暇と退屈の問題を扱う(第二章〜第四章)

2章、退屈はいつどうやって発生したのか、退屈の起源はどこにあるのか

約1万年前、人類が遊動生活から定住生活へ変わった。
定住生活によって暇と退屈が発生した。
人類は、定住によって退屈を回避する必要に迫られるようになった。

3章、人類がどう暇と退屈に向き合っていったのか

退屈とは、何かをしたいのにできないという感情や気分を指している。(主観)
暇とは、何もすることのない、する必要のない時間を指している。(客観)
暇であるとは、余裕があるということ。余裕があるとは、裕福であるということ。
古い有閑階級(暇であることを許された階級、貴族など)は、暇を生きる術を知っていた。
彼らは品位あふれる仕方で、暇な時間を生きることができた。
20世紀、大衆も暇を手にするが暇を生きる術を知らない。
そこへ、レジャー産業は人々の欲望そのものを作り出す。
ガルブレイスは「19世紀のはじめには、自分の欲しいものが何であるかを広告やに教えてもらう必要のあるひとはいなかったであろう」と言う。(19世紀初頭には自分の欲望は広告屋に教えてもらわなければ分からなくなった)
消費者は、モデルチェンジしなければモノを買わないようになった。(チャンジしているかではなく、チェンジしたという情報そのものを消費する)

4章、消費社会と退屈の関係についての考察

浪費とは、必要を超えて物を受け取ること、吸収することである。(贅沢)
消費とは、限界がない。人は、物ではなく物に付与された観念や意味を消費する。
消費社会では、退屈と消費が相互依存し、物を記号に仕立て上げ、消費者が消費し続けるように仕向ける。
消費者は「個性的」(オンリーワン)でなければならないという強迫観念を抱く。
しかし「個性」がいったい何なのか誰にもわからない。
そのため、人が満足に到達することがない。
もはや、労働や余暇も消費の対象となる。
現代の消費社会によって引き起こされる退屈の姿は疎外である。
「疎外」という言葉は、本来性や<本来的なもの>を思い起こさせる可能性がある。
<本来的なもの>は大変危険なイメージである。
なぜなら、本来とは強制的でそこから外れる人は排除されるからだ。
ルソーとマルクスは本来性を想定することなく、疎外からの脱却を目指した。
ルソーは文明人の惨めさを嘆き、自然人という純粋に理論的な像を作り出すことで、人間の本性に接近し、そこから文明人をよりよく導くための教育法(エミール)や政治理論(社会契約論)を考えた。
マルクスは疎外された労働を批判しつつ、本来的な労働を措定することなく、労働日の短縮にもとづいた「自由の王国」を考えた。

哲学的に暇と退屈の問題を扱う(第五章〜第七章)

5章、マルティン・ハイデッガーの退屈論「形而上学の根本書概念」(決断によって人間の可能性である自由を発揮せよ)

ハイデッガーの2つの退屈の形式。
退屈の第一形式:何かによって退屈させられること。(何もすることがない電車の待ち時間など)
退屈の第二形式:何かに際して退屈すること。(楽しいパーティでいつのまにか退屈しているなど)

暇がある 暇がない
退屈している 退屈の第一形式 退屈の第二形式
退屈していない 暇を楽しそうに過ごしている人(有閑階級など) 忙しく働く、充実した生活を送っている人

・退屈の第一形式
物が言うことを聴いてくれない状態。
そのため、私たちは<空虚放置>され、そこにぐずつく時間による<引き止め>が発生する。
(空虚放置・・・むなしい状態に放って置かれること)
(引き止め・・・時間がのろく、ぐづいている)
第一形式は、大きな自己喪失である。(時間を失いたくないと思っている。約束や仕事の締め切りに強く縛り付けられ、焦ってしまう。)

・退屈の第二形式
<空虚放置>は、外界が空虚であるのではなく、自分が空虚になる。
<引き止め>は放任しても、放免しない。(時間は私たちを放任しているが、放免していない。)
退屈の第二形式こそ、私たちが普段もっともよく経験する退屈。
必要だと思ってやっていることさえ、もしかしたら気晴らしかもしれない。(受験勉強、額に汗してあくせく働くこと、など。)
第二形式は、「安定」と「正気」がある。(時間に追い立てられていない。自分に向き合うだけの余裕もある。)

・退屈の第三形式 「なんとなく退屈だ」
第二形式よりも「深い」最高深度の退屈。(仕事の奴隷になったり、退屈と混じり合った気晴らしにふけったりしていもこの声が響いてくる。)
気晴らしはもはや許されない。
あらゆる可能性を拒絶されているが故に、自らが有する可能性に目を向けるよう仕向けられている。
退屈の第三形式が告げ知らせていたのは、私たちは「自由」であるということ。
退屈する人間には「自由」があるのだから、「決断」によってその「自由」を発揮せよ。

6章、人間と動物の世界

ダニは純粋に3つのシグナルだけでつくられた世界を生きている。
あらゆる生物はそれぞれの環世界で生きている。
(環世界(Umwelt)・・・人間の頭のなかで、抽象的に作り上げられた客観的な「世界」なるものではなく、それぞれの生物が一個の主体として経験している具体的な世界)
あらゆる生物には環世界の間を移動する能力がある。
人間は他の動物とは比較にならないほど容易に環世界の間を移動できる、それ故に退屈する。

7章、暇と退屈の現実的で望ましい解決策

第三形式と第一形式は最終的に区別できない。(退屈から決断したという点は同じ。)
人間にとって、生き延び、成長していくことは、安定した環世界を獲得する過程として考えることができる。
私たちはたえまなく習慣を更新しながら、束の間の平穏を得る。
生物にとって、快とは興奮量の減少であり、不快とは興奮量の増大である。
しかし、快の状態は退屈という不快を生み出す。(ここに矛盾がある。快を求めて退屈で不快になる。)
人間には、<動物になること>の可能性がある。(退屈の不快を取り払える。)
(動物になること・・・衝動によって<とりさらわれ>て、一つの環世界にひたっていること。)
(とりさらわれ・・・何かの衝動によって駆り立てられるということ。)
しかし、人間は再び人間的な生へと戻っていかざるを得ない。
だが、ここにこそ人間的自由の本質があるのだとしたら、ささやかな希望である。

哲学者抜粋

本書で取り扱われた重要だと感じた哲学者や科学者の抜粋。(本書で30人以上の哲学者や科学者の考えが引用されている。)

感想

感想を一言で言うと、暇と退屈の地位が上がるような本だと思った。
暇や退屈は、本書を読む前は些細な関心事だったが、本書を読んだ後では生き方に直結するほど重要な関心事だと思えてくる。

本自体は、とても読みやすくて面白い。
また、面白さだけでなく、考えさせられるような強いテーマとメッセージ性を感じられた。
ただ、脇道にそれる時があるので、結局何の話しをしていたっけ?これの結論って語られていたっけ?と把握できなくなる時が少しあった。(単調さの回避など面白さを向上させるための施策だと思うので大した問題ではない。)
間違いなく名著であり、このブログだけでは本書の魅力は語りきれないのでぜひ読んで欲しい。

・読みやすさについて
文章の順序立てや各章の分類分けなど構成がしっかりしている。
章内のトピックが小さくまとまっている。
例文などを使った丁寧な説明がある。
章の終わりにまとめがある。
哲学者や科学者の名前が多く引用されており、引用元がわかるため信頼できる。 (丁寧な解説があるので、人物の前提知識は持っていなくて問題ない)

・面白かった箇所
意識高い系への皮肉や巨匠と言われるような哲学者をばっさりと批判していて爽快。
人間は豊かになっても負荷や苦しみを求めるという考えが面白かった。(苦痛を求めるだけでなく、奴隷になることすら求める。)
ファイト・クラブを例にした消費社会がわかりやすくて面白かった。(消費社会で合理的に生きている人を痛烈に批判するのも小気味よい。)
20代の頃に悩んでいたことなどが題材になっていて自分ごととして読めた。(自分の命を賭けてまでも達成したいと思える重大な使命に身を投じたい、「個性的」(オンリーワン)でなければならないという(何者かにならないといけない)、など)

・気になった箇所
有閑階級の「品位あふれる仕方での暇な時間の使い方」が本書に記載されていなかったので、具体的にどのように暇を使っていたのか気になった。

・感じたこと
暇や退屈を知ることで、某インタビューニキの名言がそもそもお門違いな指摘に思えてきた。
「ゲームっていうのは暇つぶしのためにあるのであって、その暇つぶしにお金をかけているようじゃこの先心配」
そもそも資本は余暇に変換する運命で、その対象が何であるかなんて些細な関心事に過ぎない。(あなたは暇の正しい使い方を知っているような口ぶりだが、そもそも消費社会に作られた価値観に同じように狂気しているだけだと思い知れ。投資先がゲーム会社が作ったモノか、社会が作ったモノかの違いにすぎない。)

芸術家や事業の成功者など大きな成果を上げている人は、環世界移動能力が低く<動物になること>ができる人な気もした。
というか、資本主義が環世界移動能力が低いことを歓迎しているようにすら思えた。

あの人は今「退屈の第一形式」になったな、だから些細なことで怒ったり急いだりしている、とか思って人を見ると客観的になれて余裕ができそう。

私が本を読むのは、知らない環世界を体験したい、素晴らしい世界ならそこに住みたいと思うからなのかも知れない。

嘔吐 ジャン=ポール・サルトル 読書 感想

嘔吐を読みました。
本の概要や感想などを自分の備忘録として書きました。
嘔吐に興味がある人の参考になれば幸いです。

目次

動機

私は自由な生き方にあこがれており、自由になった後の態度の参考になりそうだと思いこの本を読もうと思いました。
また、そもそも名著として有名なのでいつか読もうと思っていました。

本の概要

サルトルが1938年に出版した小説。主人公の苦悩(嘔吐感)が日記形式で綴られている。
「嘔吐」は、1931年に哲学と文学が偶然一体となった「偶然性の理論」として取り掛かり、「偶然性にかんする弁駁󠄀書」→「メランコリア」→(「アントワーヌ・ロカンタンの脅威の冒険」)→「嘔吐」(La Nausée)とタイトルを変えていく。(作品の形態も抽象的な省察から小説風に変わっていく)
「嘔吐」の執筆中にフランス学院に留学しフッサールを研究したことで、作品に哲学的な厳密さと厚みが加わっている。
また、プルーストの「失われた時を求めて」(音楽の刺激から小説へ)や、「冒険」を描いたマルローなど様々な文学作品の影響が現れている。
「実存」を発見する道程を描いた作品ではあるが、決して実存主義の思想に基づいて書かれた小説ではない。
サルトルは晩年に「嘔吐」にふれて、「まったく文学的な観点からするとあれは私が書いた一番いいものだろう」と語っている。

ジャン=ポール・サルトル(1905-80)・・・フランスの哲学者、小説家、劇作家。実存哲学の代表者。実存主義の功績からノーベル文学賞を与えられるが辞退。右目が強度の斜視。プルーストを深く尊敬している。
鈴木道彦(1929- )・・・獨協大学名誉教授。多数の本の訳書。読売文学賞受賞、日本翻訳文化賞受賞。

あらすじ

人生を無意味だと思い苦悩した結果、逆説的に能動的に生きようと決意する話(「存在」から「冒険」へ意識が変わる)

ロカンタンは、労働が不要なほどの金融資産を持っており、趣味でロルボン侯爵の伝記を書いたり、図書館で知り合った独学者とたまに会ったり、行きつけの居酒屋の主人マダムとの肉体関係を持ったり、不自由のない生活を送っている。
(つまりロカンタンは、周囲の社会に何一つ負うものがなく、しかも全面的な自由な存在(単独者)である。単独者は、他人との接触に極めて乏しいが、物には絶えず取り囲まれている。)
ところが、ロカンタンにとってあるときから、物との関係が微妙に変化する。
普段は自然に受け入れていた物に一種の嫌悪感、嘔吐感を覚えるようになる。
これが発端で、ロカンタンの思索が始まり、従来は気にも留めなかった物が偶然に「存在」していることに気づく。
思索は飛躍していき、物だけでなく自分を含めた人間もまた偶然の「存在」であると考え、この世界に生きているものはすべて偶然で何の理由もない(アナーキー)と感じるようになる。
その考えに反して、ブーヴィルの人々は無邪気に群れて「存在」から目を逸らせているし、とりわけ社会の指導的なエリートたちは、自分たちが予め各自な存在理由を与えられてこの世界に登場したと固く信じて疑わない。
ロカンタンは、このような人々を「下種ども」と呼び軽蔑する。
独学者のヒューマニスト的な考えも「下種ども」と同様な視点から、痛烈な言葉を浴びせ人間関係を悪化させる。
また、元カノのアニーと会い「存在」の対極である「完璧な瞬間」(冒険)を話し復縁を試みるが、解釈の手段の違いからアニーとは分かりあえずロカンタンは再び独りとなる。
嘔吐感を与える「存在」の世界の中で、例外的なのはレコード(Some of these days)を聴く時間である。
レコードには、日常生活と違い始まりと終わりがあり、必然的に自らの死に向かって進んでいく。
何の理由もなく物が存在する現実の世界とかけ離れたいわば「冒険」の時間である。
ロカンタンは、レコードを聴きながら「冒険」を決意する。
ロカンタンにとっての「冒険」とは、ロルボン侯爵の伝記ではなく一遍の小説を書くことである。
ロカンタンは、パリへと旅立つ。

登場人物

  • 登場人物(主要)
    • アントワーヌ・ロカンタン
      • 主人公、30才、独身
      • フランスのブーヴィル(架空の町)の安ホテルに在住
      • 世界各地を旅行しさまざまな経験を積んでいる
      • 高等遊民、ロルボン侯爵の伝記を作っている
        • 14,400フランの金利収入、利札(クーポン)の支払いを受けている
      • 独学者が苦手、アニーと復縁したい、孤独、内向的
    • 独学者
      • 図書館で本を読んでいる(ABC順に本を片っ端から読む)
      • ヒューマニスト、軍事経験や捕虜経験あり、孤独、社交的
    • アニー
      • ロカンタンの元カノ(6年前に別れた)
      • 演劇の仕事をしている、世界を旅している
      • 感受性が強く行動的
  • 登場人物(その他)
    • フランソワーズ
      • マダム、居酒屋の主人、ロカンタンのセフレ
    • メルシエ
      • インドネシア時代のロカンタンの同僚
      • フランスの役人
      • ベルトー事件のあと辞職
    • ロルボン侯爵
      • ロカンタンが調べている偉人(架空人物)
      • ジェルマン・ベルジェ(架空人物)の本の登場人物
      • 容姿は醜いがマリーアントワネットをはじめ宮廷の婦人たちをものにする魅力がある
    • ファスケル
      • カフェ・マブリのマスター
      • アニーの父
      • 病気を患う
    • エジプト人
      • アニーを養っている若いイケメン

日記の出来事など

  • 1932年1月25日 月曜日
    • 気分がさえない
    • 6年間いたインドネシアから情熱が冷めフランスに戻る
  • 1月26日 火曜日
    • 図書館で仕事
    • カフェでランチ
    • フランソワーズとSEX
    • 小石を触り嘔吐を感じる
  • 木曜日
    • 図書館で本を読む
      • ロルボン侯爵好き
  • 金曜日
    • 鏡で自分の顔を見ながら思いにふける
    • 仕事をする気にならない
    • カフェに行く
      • 吐き気を感じる
      • 意識が朦朧とする
      • レコード(Some of these days)を聴いたら吐き気が消えた
  • 木曜日
    • 図書館に行く
      • 独学者と話す
      • 旅は最良の学校
    • 冒険を考える
  • 日曜日
    • 外出して想いにふける
    • 茶店で本を読みながら近くの人の会話を盗み聞きする
    • 散歩する
  • 月曜日
    • アニーと映画を見る
    • マダムと寝る
  • 謝肉の火曜日
    • アニーから手紙がくる
    • 飲食店で周りの人を観察する
  • 木曜日
    • 4ページ書いた
  • 金曜日
    • 濃い霧が立ちこめる中、カファ・マブリへ行く
    • 図書館に行き、独学者と水曜日の昼食の約束をする
    • カファ・マブリへ行く
    • 図書館へ行く
  • 土曜日
    • カフェ・マブリで朝食をとる
    • ファスケルさんの看病でアニー(娘)が来ることを知る
    • 図書館に行く
    • 美術館に行く
  • 月曜日
    • ロルボンに関する本は書かないことを決心する
    • 現在だ、現在以外に何もない
  • 火曜日
    • 書くことはなにもない。存在した。
  • 水曜日
    • 独学者と一緒に昼食をとる
    • 独学者が、捕虜の体験談を話し、自分がヒューマニストであると語る
    • ロカンタンは、ヒューマニストを否定する
    • ロカンタンは、吐き気を催する
    • ロカンタンは、独学者との人間関係を悪化させ、店を出て公園に行く
    • ロカンタンは、存在を理解する。もう本は書かない
      • 存在する理由など何ひとつないと感じる
  • 金曜日
    • アニーと会うため汽車に乗る
  • 土曜日
    • アニーとホテルで会話する
    • ロカンタンは、まだアニーのことが好き
      • 離れていてもアニーが自分と同じような変化や悩みを抱えていると感じ喜しく思う
    • アニーは、ロカンタンとは違う考えだと思っている
    • アニーは、養ってもらう男がいる(おそらくエジプト人
    • アニーは、明日イギリスに行き、その後エジプトへ行く
    • 会話がうまくいかず、アニーと別れる
      • 別れ際にキスをする
    • ロカンタンは、再び孤独に戻るのが怖い(ロカンタンはアニーも孤独だと感じている)
  • 日曜日
    • 午前中、メニルモンタンをうろつく
    • 午後、セーヌ川の河岸をほっつき歩く
    • 5時、サンザール駅に行く(アニーにアポ無しで会いに行く)
      • アニーは若く背が高く美貌の男(あのエジプト人)と一緒にいる
      • 二人はロカンタンに気づかず汽車に乗る
      • 汽車の中でアニーはロカンタンに気づき、長い事見つめていた
      • すべてが崩れた
    • 歩いてカフェに入り、眠る
    • ロカンタンは、都会が怖い。しかし都会から出ていけない
  • 火曜日
    • ブーヴィルに戻る
    • 失恋して、自由を感じる
      • アニーに恐怖や嘔吐からの救いを求めたが、希望を奪うにすぎなかった
      • 独りきりで自由、自由はいくぶん死に似ている
      • 今となってはアニーのように余生を送るだろう
        • 食べて、眠り、ゆっくりと静かに存在する、あの木々や水たまりや電車の赤い座席のように
    • 存在に対して恐怖を抱く
  • 水曜日
    • ブーヴィルから出ていくことを決心し、別れの挨拶や旅立ちの準備をする
    • 独学者を見つけるために、町中を走り回る
    • 図書館に借りていた本を返す
    • 図書館で独学者とよそよそしく会釈する
    • 独学者が濡れ衣を着せられ、従業員に殴られ図書館を出禁になる
    • ロカンタンは、独学者を慰めに行く
      • 独学者は、放って置いてほしいと言う
    • 汽車でブーヴィルからパリに行く2時間前の一時
      • 忘却を味わう(ブーヴィルは私を忘れ、パリは私を知らない)
      • マダムに別れを言う
        • パリでの生活を考える
          • 昼間は何をする?30歳でだ!自分が哀れになる
          • 身長のスーツ、女たち、旅行、そんなことはみんなやってしまった
          • そこから何が残るというのだ
          • 現在と同じように空っぽで、一つの思い出とてなく、死を前にして尻込みしている自分を見出すだろう
          • 仕事が欲しい
          • 書いていれば<吐き気>を遅らせられるだろう
      • マダムから最後にあのレコード(Some of these dayse)を聴くよう勧められ、レコードを聴く
        • サクソフォンの4つの音が「私たちのようにすべきだ、リズミに合わせて苦しむべきだ」と言っているようだ
        • 私もそんなふうに苦しみたい
        • 私も一遍の小説を書くことで冒険ができないだろうか
        • この小説を読んだ人たちが私の生涯に思いを馳せるのではないだろうか
        • 本を通して嫌悪感なしに私の生涯を思い出せるだろう
        • きっとこの瞬間がすべての始まりとなる
        • そして私は自分を受けれ入れることができるだろう

感想

全体的に古典文学としての色が強い印象。
表現が詩的で魅力的だが、抽象的で理解しにくい。
また、出来事より深層心理に重点を置いているため、掴みどころがなくリズミカルに読み進められない。
ただ、ロカンタンの考えや心情の変化が面白く、自分は比較的共感できる考えだったので楽しめた。
そして、当初の本誌を読む動機(自由への対策)は概ね満たせたと思う。
ただ、新しい発見があるというより再認識に近い気がした。
(内容を完璧に理解できていない可能性があるので、もう少し読み込めば変わるのかもしれないが。。。)

・気になったところ
読みにくく退屈で頭に入ってこない。(個人的には後半から面白かった)
自分は知識も情熱もないから読むのが辛くて吐きそうだった。

  • 目次がなくて全体像を把握しにくい
  • 最初から日記ベースなので視点や時間など理解するのにストレスかかる(どこで何やっているかわかりにくい)
  • 登場人物も多く重要な人なのか読み飛ばして良いのかわからない
  • 出来事が街並みの日常で地味過ぎて娯楽として楽しめない(大きな事件やワクワクする解決はない)

・良かったところ
人物の考えや哲学が丁寧に書かれている。
あとがきで解説があるのがとても助かる。(文学的で理解が困難なので内容の整理に役立つ)

  • ロカンタンの純粋さと孤独
    • アニーや独学者などの人間関係への孤独
    • 高等遊民の自由への孤独(仕事がほしいが何もしたくない、ペンを手放すことができない、書いていれば吐き気を遅らせることができる)
    • 自分も孤独なので共感できる
    • 最後に乗り越えるのも物語として気持ち良い
  • アニーの感性
    • ロカンタンとの視点の違い
    • 完璧な瞬間の亡霊に取り憑かれている
    • 不幸
  • 存在と冒険
    • 長く生きていると自分は何のために生きているのかを考えるが、ロカンタンも近いことを考える
    • ロカンタンが、傲慢なブルジョワ(下種ども)やヒューマニストを批判するのは小気味よい
    • 吐き気に襲われながらも冒険へとたどり着くのも物語として誠実

ゴッホの手紙 読書 感想

小林秀雄全作品20 ゴッホの手紙を読みました。
本の概要や感想などを自分の備忘録として書きました。
ゴッホの手紙に興味がある人の参考になれば幸いです。

目次

動機

私がなぜこの本を読もうかと思ったかと言うと、
過酷な絵の道を歩んだ先輩の生き様を知ることで、自分が苦しくなった時の支えになってくれることを期待したからです。
私自身絵に対する覚悟が決まっていませんが、絵に対する気持ちや売れなくても描き続ける精神状態を少しでも先人から学べたらと思いました。

本の概要

小林氏のエッセイのような文章がまとめたられた本で、内容は「ゴッホの手紙」が大半を占めています。 (この記事では、主に「ゴッホの手紙」について取り扱います。)

小林秀雄全作品・・・第五次小林秀雄全集の流布板・普及版として刊行する第六次小林秀雄全集。
小林秀雄(こばやし ひでお)・・・日本の文芸評論家、編集者、作家、美術・古美術収集鑑定家。日本芸術院会員、文化功労者文化勲章受章者。
小林秀雄全作品20 ゴッホの手紙の目次・・・埴輪(p.9~10)、ゴッホの手紙(p.11~177)、自分の本(p.178~179)、井上雄一朗「桃仲軒雲右衛門」序(p.183~185)、エヂプトにて(p.186~191)、モーツァルトを聞く人へ(p.192~193)、祖父・小林秀雄の「眼」を辿る(p.196~207)

ゴッホの手紙の概要

ゴッホが書いたテオ宛(もしくはヨハンナ宛)の手紙が時系列で紹介されています。
ゴッホの手紙は複数枚あり、その手紙が抜粋されて、ナンバリングして紹介されています。
(手紙自体は819通あるらしいですが、この本ではごく限られた一部のみ紹介されています)
手紙は、ゴッホが牧師になろうとして失敗したことや、恋心の話し、絵の話し、精神に問題を抱えた話し、町の人々の話し、ゴーギャンの話し、などがありました。
手紙の文章に対して小林氏が一つ一つ丁寧に解説するのではなく、時々手紙から受け取った事を補足として記載しています。
また、手紙が主体なので、出来事や登場人物や絵についての詳しい説明はありません。
(事前にゴッホの生涯などの予備知識を持って読むと理解しやすいと思います。私は、山田五郎Youtubeや映画などで予習しました。)

登場人物

  • ゴッホ(1853~1890)(フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ)・・・オランダ生まれ、日本大好き
  • テオ(1857~1891)・・・ゴッホの弟
  • ヨハンナ(1862~1925)・・・テオの妻、ボンゲル夫人
  • ケー・フォス・ストリッケル(本誌には名前が出てこない)・・・従姉、寡婦ゴッホ告る→断られる(いいえ。ダメです。)
  • クリスティーヌ(クラシナ・マリア・ホールニク)・・・「悲しみ」のモデル、娼婦、母親と子どもを抱え妊娠している、ゴッホと同棲するが周囲から反対により破局
  • マルホ(本誌には名前が出てこない)・・・結婚を申し込み本人からOKをもらう、女一家の大反対、女は逆上して毒を飲む、結局破局
  • ペイロン・・・サン・レミー療養院の院長、ゴッホに親切にしてくれる(肉とかぶどう酒をくれたり)
  • 交友関係
    • ボリナージュでは炭鉱夫
    • ハーグでは売春婦
    • パリではタンギイ爺さん
    • アルルではゴーギャンと2ヶ月同棲
    • アルルでは郵便配達のルーラン(発病したゴッホの身の回りの世話をしてくれた)
    • アルルでは医者のレイ(耳切り)
    • オーヴェールでは精神科の医者のガッシュ(絵が好き)

ゴッホの生涯(一部抜粋)

  • オランダで牧師の子どもとして生まれる(1853年)
  • テオと一緒に美術商になるが辞める
  • 牧師を目指すが挫折
  • 27才頃、画家になることを決心(1880年)
  • 絵の勉強をするためパリに移住(弟と同棲)
  • 南フランスのアルルへ移住
  • ゴーギャンと同棲
  • 自らの耳を切り娼婦に耳を渡す
  • ゴーギャンとの同棲は2ヶ月で終了
  • 精神科に入院
  • パリに近い町オーヴェールで、療養しながら絵を書き続ける
  • 銃で心臓付近を撃ち2日後くらいに死亡(1890年)
  • テオも半年後くらいに発狂し死亡

ゴッホの補足情報

  • 性格
    • 慈善の狂人
    • 生活力が壊滅的(金銭感覚、料理など)
    • 相手にひどく好かれるかひどく嫌われるか、どちらかだというような何かがある
  • 人間関係
  • その他
    • ゴッホの耳は娼婦ではなくゴーギャンに送った可能性あり
    • 自殺ではなく他殺の可能性あり

印象的だった手紙の内容

  • 「貧乏とはどういうものであるか、彼女は知っている、僕も知っている。貧乏はよいものでもあろう、悪いものでもあろう、構わぬ、僕は貧乏を賭してやっつける。海は危険であり、嵐は恐ろしい、それは漁夫がよく知っている。...嵐でも夜でも来るがよい。危険と危険に対する恐怖の念と、一体どちらが始末に悪いか。僕としては、現実のほうがいいね、危険自体の方がいい」(No.193)
  • 「両親が僕の事を本能的にどう考えているかを僕は感じている。犬は濡れた足で部屋に駆け込む。ちと礼儀というものを知らなすぎるんだな。邪魔にはなるし、無闇に吠え立てるし、要するに汚らしい畜生なのだ。よろしい。だが、この畜生には人間の経験がある。犬には違いないが、人間の魂、それもひどく敏腕なやつを持っている。お陰で、人々にどう見られているかが感じられる。普通の犬に出来る芸当じゃない」
  • 「自分自身の色調の調和から、自分のパレットの色から出発せよ。自然の色から出発するな」(No.429)
  • 「頭がまるで滅茶滅茶だったから、君の親切な手紙に返事を書こうと思っても無駄だった。...ここの人々は、絵に関して何か迷信を抱いているらしい。町ではみんな絵について妙な事を言っていた...こっちが少ししっかりさえすれば、彼らの偏見を改めることはできる、少なくともなんと言われようと描いていることは出来る。ところが、悪いことに僕はむしろ人々の信じることに感染し、そんな気持ちになる傾向があった。彼らの愚劣のうちにあるかも知れぬ真理の根拠を考えると、いつも笑って済ますわけにはいかないのだ。...どいつもこいつも皆おかしい、だから少なくともホクは孤独ではない。...僕は周りの人々、レイさんや病院の近所の人たちみんなと非常に浸しくなっている。そういう人たちは絵や絵描きに対し、度し難い偏見を持っている。ともかく、僕らの様な健全で明瞭な観念は持っていない。しかし、そういう人たちのなかにある親切を無にするくらいなら、僕は、ここでいつまでも病気している方が良い」(No.577)
  • 「いまだ突然どうしようもなく意気消沈してしまうことがよくある、恐ろしいくらいだ。それに、健康が常態に復し、頭が冷静に働くようになればなるほど、たくさん金をかけ、こうして絵を描いていて、原料代も入ってこない、一文も入ってこない、ということがいよいよ馬鹿げた、全く理屈に合わぬように思われてくる。僕ほど不幸な男はないと感ずる。この年になって他の事を始める事も出来ないし、困った事である。」(No.611)
  • 「さて、僕の仕事のことだが、僕は仕事に命を賭している。そしてすでに僕の理性は、その中で半ば崩壊した。それはそれでよろしい。だが、君は、僕の知る限り、そこいらにいる商人どもの仲間ではない。君は未だ人間らしく行動する方を選ぶことができる、と僕は思う。そうではないか。」

感想

ゴッホの手紙が見れて、ゴッホの考えなどが生々しく知れて心に響くものがありました。
自分が不安なときにゴッホを思い出すことで苦悩を和らげてくれる気がしました。
ゴッホの人生は波乱万丈でドラマチック、10年しか絵を描いていないとは思えないほどの密度を感じました。
絵を、芸術を描きたくなる手紙だと思いました。

気になったところとしては、誰かに何かを伝えるための本ではない気がしました。
一般的ではない漢字や表現が多く読み手のスピード感に影響がありそうだったり、手紙に対する解説もまちまちだったり、手紙の全文がなく全体像の把握ができなかったり、物足りない箇所が目立ちました。

浅く知りたい人は、ゴッホの手紙の映画を見るので十分な気がします。
映画を見た上で興味が出たら本誌を読むとさらにゴッホの世界に浸れると思います。

舌下免疫療法(ミティキュア) やってみた

2024年の5月に舌下免疫療法を始めました。
私の病状や舌下免疫療法の手続き、感想などを書きました。
舌下免疫療法を検討している人の参考になれば幸いです。

目次

舌下免疫療法の概要

舌下免疫療法とは スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法です。主には、アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていますが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。

参考)
舌下免疫療法とは|舌の下(したのした)で行う鳥居薬品の舌下免疫療法専門サイト
ミティキュアを飲むみなさんとおうちの方へ(冊子) - 鳥居薬品

効果について

効果の判断基準は、血液検査など定量的に判断できず、体感で判断するしかないらしいです。
効果を得るには、治療を3~5年続けると必要がありますが、早い人だと半年くらいで効果を感じるらしいです。

私の病状や舌下免疫療法に期待すること

私は、特にダニとハウスダストのアレルギー反応が高いです。
アレルギー性鼻炎アトピーなどがあり、日常的に薬を服用しています。

舌下免疫療法に期待することは、鼻炎の緩和や服用中の薬をできるだけ少なくすることです。(生活の質(QOL)と金銭的なメリット)

舌下免疫療法を受けるためにやったこと

  1. 病院(内科)の診察で相談
  2. 舌下免疫療法の申し込み
  3. 病院で初回分を服用

1. 病院(内科)の診察で相談

舌下免疫療法は、アレルギー反応がある場合のみ治療が受けることができます。
また、薬局に初回治療キットの在庫がないと治療を受けられないようです。
そのため、診察で舌下免疫療法を受けられるか相談しました。
私の場合、スギ花粉用のキットはありませんでしたが、ダニ用のキットはありました。(ダニ用のキットも残り1つでした)

2. 舌下免疫療法の申し込み

本来は血液検査をしてアレルギーがあるか判断してから申し込みとなりますが、私の場合以前に血液検査を受けていたため血液検査は不要でした。
私はダニのアレルギーがあったため、ダニの舌下免疫療法を申し込みました。
申し込みをしたら、当日から治療が受けられました。

3. 病院で初回分を服用

薬局で薬(ミティキュア)を処方され、初回は(アナフィラキシーなどを考慮して)病院で服用しました。
何かあったときの考慮して、30分間は病院内で待機をするように指示されました。
私の場合、特に異常はなかったため30分後に帰宅できました。

舌下免疫療法の治療内容は、薬を服用するだけです。
舌の下に薬を乗せて5分間飲食をしなければ基本的にはOKです。
薬は5秒くらいで溶けます。味は特に感じません。私の場合心なしか少し息苦しさを感じました。
安全を考慮して最初の1週間は少なめ(3,300JAU錠)、2週間目から通常の量(10,000JAU錠)が処方されます。

医療費は、他の診察や処方箋もあったので正確にはわからないですが、診察料と処方箋2ヶ月分で4000円くらいだったと思います。

感想

服用して1ヶ月経過した感想

服用直後や時々心なしか少し息苦しくなる気がします。
また、服用直後は舌の裏に異物感のような違和感があります。
上記2点は特に生活に支障がでるような問題ではありません。(ほとんど気にならない些細な違和感です)
また、定期的にジムに行って有酸素運動無酸素運動をしましたが、特に問題ありませんでした。

1ヶ月服用を続けましたが、アレルギーが改善したという効果は感じません。(そもそもアレルギーを抑える薬も服用しているので効果がわかりません)

全体的な感想

治療方法が薬の服用だけなので気軽に続けられて良いです。
また、通院も2ヶ月に1回なのは良心的だと思いました。
治療費は高くないですが長期間服用が必要となるとそこそこ痛手になる気がします。
定量的な効果が計測できないので、本当に良くなっているのか判断できるか怪しく、辞め時もわからないのが辛いです。
とりあえず信じて3年は続けてみようと思います。

効果があったらまたブログ書きます。